君は大人の玩具という。
#7.告白



京子が牧と最後に会ってから
1カ月が過ぎた。

消化器外科はなんとか牧なしで
持ちこたえつつ
手術と外来をこなしていた。

院内でも牧の話題に関しては、
人々の関心も薄れていった。

少なくとも京子の周りでは、
時々誰かが牧のことを思い出しては
京子に同情の目を向ける程度だった。

京子が久々に消化器外科の手術の
外回りについていたある日、
京子は部屋作りの準備に取り掛かっていた。

物品室でCV挿入の物品を集めていると、
主任が廊下で呼ぶ声が聞こえた。


「千秋ー」

「はーい」


京子はCVキットとエコーカバー、
スタットロック等諸々を抱えて
物品室から顔を出した。


「ここでーす」

「千秋!ちょっと今すぐ手洗ってきて!」

「え、なんでですか?」


主任が京子の抱えていた物を
受け取りながら言った。


「解離来るから!
 教授のチームが入るって言ってたし、
 今つける人誰もいないからお願い!」

「あ、はい。わかりました」


"教授"という言葉に戸惑ったが
今はそんなこと言っている余裕はない。

京子は急いで1番の部屋に向かった。


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