GLORIA

第二話 前田君に話しかけてみる

給食の時間。

献立通りの学校給食が中学生3年生・支倉ハイムの昼食だ。配膳は列をなして当番から受け取る。ハイムは配膳を自分の席に運ぶと椅子に腰かけて食べる時刻を待った。



【献立】

白飯

チーズタッカルビ

トックとわかめスープ

バナナ



トックスープは浮かんだワカメの美味しそうな匂い♪

顔を覗かせる脂の乗ったウインナー♪

チーズタッカルビは頼んで少量に(辛かったら嫌だなと思った為)♪

白飯も綺麗なお米の白♪



学校給食にハイムはソワソワしていた。校内放送の音楽に合わせて踊る心で、思わず話しかけるように給食を眺める。スプーンを手に取ってスープをかき混ぜてしまいそう。それは行儀が悪いかな。



そういえばハイムの好きな女性アーティストの新曲が先日リリースされた。まだダウンロードして聴いていない。長空第一中学で携帯電話は登下校中のみ携帯できる。校内では、朝のホームルームで教諭が回収する。家に帰ったら聴こう。



ハイムは鼻歌を思わず歌いそうになる。ハイムがふと正面を向くと、班で向かい合わせになった男子がハイムを見ていた。穂谷野という男子だ。「なんだろうな?」と思ったハイムがニコッと笑うと、穂谷野は、




「支倉さんは嬉しそうに給食を眺めるよね…」



と言った。



ハイムはケラケラと笑って、



「お腹減ったもんね~!」



と言う。



ハイムは、



「チーズタッカルビが辛かったら嫌だね?」



と会話を続けた。



「僕は辛いの嫌いじゃないよ…」



「え~!羨ましい!」



ハイムは、人から話しかけられると嬉しそうにした。日頃はやや寡黙なハイムも、給食の時間は明るかった。

< 3 / 13 >

この作品をシェア

pagetop