miracle live in Halloween
2024年10月15日。
今朝、40代後半になっている会社員のヨシユキは、京急横浜駅から、快特品川行きで、通勤をしていたら、「ああ、今日は、ハロウィンか」と思った。そして、たまに、車内の電子公告を観ていたら、「ハロウィン特集」なんてしている。
もう、彼女と別れて、3か月が経った。
30代前半の彼女、マサミと別れた。
目がクリクリして、ショートカットで、すらりとしたスタイルの。
今日の東京の天気は、雨である。
ハロウィンなんて最初、観た時、ついていけなかったと思った。どこかの若者がしている、なんて関心がないようにしていたが、この年齢になると、「ハロウィンに、彼女がいない」なんて考えて悶々としている。
また、マサミがいないと寂しいと感じている。
ヨシユキは、男前だと思う。
顔だけは、芸能人なみに、美男子だが、白髪が多くなってきた。
ヨシユキは、食品メーカーをやめて、今の出版社に勤務している。しかし、今の時代、書店は倒産し、そして、AI編集者なんて出てきては、ヨシユキは、どんどん、自分の仕事を奪われる感じがして、怖くなっている。
そして、今の出版社だって、角川書店とか講談社とかそんな大手ではなく、規模の小さい出版社だと分かっている。売れる見込みはないが、それでも、頑張って、小説を刊行している。
ヨシユキは、そもそも、役者志望だった。
そして、若い時は、役者になりたいと思って、劇団で芝居をしていたが、売れず、両親も「横浜へ帰ってこい」と言われて、食品メーカーに就職した。しかし、その食品メーカーで仕事をしたが、身体を壊し、ついに、3か月前、小説が好きな理由だけで、今のニコニコ出版で仕事をしている。
しかし、ニコニコ出版も、やはり、不況で、困っている。
そして、ヨシユキは、会社へ着くと、上司にこう言われた。
「柴原君」
「はい」
「今日さ」
「はい、さわやかテレビが、急に取材が入ったんで、この衣装を着て、新橋イチロー先生の<ハローウィンの奇跡>を、宣伝してくれないか」
びっくりしながらも、ヨシユキは、カボチャの帽子を被って、新橋イチロー『ハローウィンの奇跡』の宣伝をしないといけなくなった。
しかし、どうやって、新橋イチローの『ハローウィンの奇跡』を、宣伝しないといけないか、と思った。
「そうだ、柴原君」
「はい」
「新橋イチロー先生の『ハローウィンの奇跡』って、ドラマ化されるらしいよ。今日」
「え、いつ?」
「2024年10月29日」
「柴原君」
「はい」
「君さ」
「はい、役者をしていたんだろう」
「はい」
「ここにさ、<ハロウィンの奇跡>の歌詞があるから、それを覚えて、歌ったらどうだ?」
と言った。
「音響もあるしさ」
となった。
そして、会社のロビーへ行くと、『ハローウィンの奇跡』の本が、数冊と、ドラマの看板があった。ドラマの看板には、俳優の浅草イッペイと女優の浜松カスミが、写真で映っていた。
そこに、作詞は、新橋イチローが、書いた「ハロウィンの恋人たち」が、あった。
さわやかテレビのカメラマンが来た。
そして、ヨシユキは、歌詞を見て、音源を聴いてから、歌ってみた。
その後、ヨシユキは、カボチャの被り物をして、歌った。
…
ハロウィンには
必ず
やってくる
あなたの大事な
友達や
家族が
ハッピーハロウィン
…
すると、ここのニコニコ出版の社員のみんなが、拍手をしていた。勿論、さわやかテレビのカメラマンも拍手をしていた。
ただ、若い女性がいないのが、寂しかった。
だが、よく考えてみたら、マサミは、よく言っていた。「会社のイベントで、何か歌ったり、踊ったりしないの?」と言っていた。
ここに、マサミがいたらなぁと思った。
50代後半の男性上司は、「頑張ったね」「熱演だった」と言った。みんなも、そう言っていた。」
帰り際、さわやかテレビのカメラマンから、「男からハロウィンのプレゼントなんて、嫌かもしれないけど、どうぞ、チョコレートもらってください」となった。
それから二週間が経った。
今日は、営業に回らなくて、そのまま、品川駅から、快特三崎口行きに乗った。
そして、仕事が終わって、横浜駅へ、電車は向かっていた。
マサミは、いなかったけど、けど、まあ、褒められて良かったか。確かに、オレは、もう、役者ではないけどさ、でも、頑張ったから良いか。
電車が、京急横浜駅についた。いしだあゆみ『ブルーライトヨコハマ』が、流れていた。
その時だった。
スマホのLINEが、鳴った。
そこに、「マサミ」と名前が出ていた。
「どうしたの?マサミ?」
「ヨシユキ、観たよ、今日、テレビ出ていたじゃん!」
「観たの?」
「凄いじゃん!」
「ありがとう」
「今日さ、これから、ヨシユキの家に行って良い?」
「え、良いけど」
ハロウィンのライブが、ヨシユキと、マサミの二人を再会させた。そして、その後は、彼らは、二人でゆっくりハローウィンの夕食を楽しんでいたようだった。勿論、デザートは、パンプキンケーキだったようだ。<完>
今朝、40代後半になっている会社員のヨシユキは、京急横浜駅から、快特品川行きで、通勤をしていたら、「ああ、今日は、ハロウィンか」と思った。そして、たまに、車内の電子公告を観ていたら、「ハロウィン特集」なんてしている。
もう、彼女と別れて、3か月が経った。
30代前半の彼女、マサミと別れた。
目がクリクリして、ショートカットで、すらりとしたスタイルの。
今日の東京の天気は、雨である。
ハロウィンなんて最初、観た時、ついていけなかったと思った。どこかの若者がしている、なんて関心がないようにしていたが、この年齢になると、「ハロウィンに、彼女がいない」なんて考えて悶々としている。
また、マサミがいないと寂しいと感じている。
ヨシユキは、男前だと思う。
顔だけは、芸能人なみに、美男子だが、白髪が多くなってきた。
ヨシユキは、食品メーカーをやめて、今の出版社に勤務している。しかし、今の時代、書店は倒産し、そして、AI編集者なんて出てきては、ヨシユキは、どんどん、自分の仕事を奪われる感じがして、怖くなっている。
そして、今の出版社だって、角川書店とか講談社とかそんな大手ではなく、規模の小さい出版社だと分かっている。売れる見込みはないが、それでも、頑張って、小説を刊行している。
ヨシユキは、そもそも、役者志望だった。
そして、若い時は、役者になりたいと思って、劇団で芝居をしていたが、売れず、両親も「横浜へ帰ってこい」と言われて、食品メーカーに就職した。しかし、その食品メーカーで仕事をしたが、身体を壊し、ついに、3か月前、小説が好きな理由だけで、今のニコニコ出版で仕事をしている。
しかし、ニコニコ出版も、やはり、不況で、困っている。
そして、ヨシユキは、会社へ着くと、上司にこう言われた。
「柴原君」
「はい」
「今日さ」
「はい、さわやかテレビが、急に取材が入ったんで、この衣装を着て、新橋イチロー先生の<ハローウィンの奇跡>を、宣伝してくれないか」
びっくりしながらも、ヨシユキは、カボチャの帽子を被って、新橋イチロー『ハローウィンの奇跡』の宣伝をしないといけなくなった。
しかし、どうやって、新橋イチローの『ハローウィンの奇跡』を、宣伝しないといけないか、と思った。
「そうだ、柴原君」
「はい」
「新橋イチロー先生の『ハローウィンの奇跡』って、ドラマ化されるらしいよ。今日」
「え、いつ?」
「2024年10月29日」
「柴原君」
「はい」
「君さ」
「はい、役者をしていたんだろう」
「はい」
「ここにさ、<ハロウィンの奇跡>の歌詞があるから、それを覚えて、歌ったらどうだ?」
と言った。
「音響もあるしさ」
となった。
そして、会社のロビーへ行くと、『ハローウィンの奇跡』の本が、数冊と、ドラマの看板があった。ドラマの看板には、俳優の浅草イッペイと女優の浜松カスミが、写真で映っていた。
そこに、作詞は、新橋イチローが、書いた「ハロウィンの恋人たち」が、あった。
さわやかテレビのカメラマンが来た。
そして、ヨシユキは、歌詞を見て、音源を聴いてから、歌ってみた。
その後、ヨシユキは、カボチャの被り物をして、歌った。
…
ハロウィンには
必ず
やってくる
あなたの大事な
友達や
家族が
ハッピーハロウィン
…
すると、ここのニコニコ出版の社員のみんなが、拍手をしていた。勿論、さわやかテレビのカメラマンも拍手をしていた。
ただ、若い女性がいないのが、寂しかった。
だが、よく考えてみたら、マサミは、よく言っていた。「会社のイベントで、何か歌ったり、踊ったりしないの?」と言っていた。
ここに、マサミがいたらなぁと思った。
50代後半の男性上司は、「頑張ったね」「熱演だった」と言った。みんなも、そう言っていた。」
帰り際、さわやかテレビのカメラマンから、「男からハロウィンのプレゼントなんて、嫌かもしれないけど、どうぞ、チョコレートもらってください」となった。
それから二週間が経った。
今日は、営業に回らなくて、そのまま、品川駅から、快特三崎口行きに乗った。
そして、仕事が終わって、横浜駅へ、電車は向かっていた。
マサミは、いなかったけど、けど、まあ、褒められて良かったか。確かに、オレは、もう、役者ではないけどさ、でも、頑張ったから良いか。
電車が、京急横浜駅についた。いしだあゆみ『ブルーライトヨコハマ』が、流れていた。
その時だった。
スマホのLINEが、鳴った。
そこに、「マサミ」と名前が出ていた。
「どうしたの?マサミ?」
「ヨシユキ、観たよ、今日、テレビ出ていたじゃん!」
「観たの?」
「凄いじゃん!」
「ありがとう」
「今日さ、これから、ヨシユキの家に行って良い?」
「え、良いけど」
ハロウィンのライブが、ヨシユキと、マサミの二人を再会させた。そして、その後は、彼らは、二人でゆっくりハローウィンの夕食を楽しんでいたようだった。勿論、デザートは、パンプキンケーキだったようだ。<完>