恋をするなら俺として?

土曜日、十四時

 待ち合わせた十四時。
 五分前に着くと、すでにドラッグストアの前には一ノ瀬くんが立っていた。
 はじめて見る私服姿は、シンプルなのにセンスが光る。
 
 ファッションに疎い私でもわかる、お洒落な人のコーディネートだ。
 あわてて駆け寄ると、ふわりと微笑まれて胸が高鳴る。

「一ノ瀬くんも、家……近いの?」
「いや、俺の家はちょっと離れてるんだけど。ここ品揃えいいし、学校から離れてるし……誰にも見つからないかなって思ってたから」
「あっ……だ、誰にも言ってないよ?一ノ瀬くんのこと」
「知ってる。だから、あの日会ったのが山下さんで良かったなって思ってる」

 そう言って、「行こうか」と一ノ瀬くんが店内に入るあとを追った。
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