一夏夕涼み
やっと平穏が訪れたかなって思った、自分の席でイヤホンしながら音楽聴く、ちょうどお日様が窓から差し込んで暖かい、このまま眠ってしまおうかって思った。
「誰かプリント授業準備室に運ぶの手伝って」
またあいつが言っていた、けどイヤホンを付けている文香には聞こえない、そして一人でいる文香を見て。
「足立さんこれ運ぶの手伝おうか」
完全にミスった、けど。
「嫌です」なんて言えるはずが無いのだ、とりあえず「はい」と吐いた。
今にも落としそうなほどの枚数のプリントを腹に抱えさせられ教室を出た。
教師と並んで歩く何にも無いのに周りの視線を気にしてしまう、すると教師は。
「足立さんこれもお願い」
そう言うと、教師が持っていたプリントを自分のプリントに重ねた、たまらず断ろうとした、これ以上持ったら落としてしまう。けどそんな事聞いて貰えるはずがなく。
たまらずプリンの束が宙を待ったと思ったら廊下に散乱していた。
教師は冷たい目をして「拾え」と言う余りにも乾いた言葉を自分だけに聞こえるように言った、それに続いて
「皆んなも拾うの手伝って」
と優しく言ったら、すぐに小さな人だかりができた、そして周りの生徒が、鋭い目を向けながら丁寧に、
「大丈夫?」と聞かれた気がした。
文香はこの場から消え去りたいとだけ願っていた、そして全てを拾い授業準備室に向かった。
授業準備室に着くとようやく一人になれた、変な息遣いを直そうとした、その後また保健の先生に言われた。
「また発作が出たみたいね、今日は帰る?」
といつもの質問をされ、家に着いた。
バイトに休みの電話を入れ布団に入った、そして朝になり真帆が帰ってきた、真帆に今日は学校を休むことを伝えると、
「最近発作が続いてるわねお母さんに考えがあるの、高知の梨花おばちゃん覚えてる?」
高知の梨花おばちゃん懐かしい記憶が蘇ってる。