一夏夕涼み
文香は今日も8時間と言う長時間のバイトを終えいつものアパートに帰ってきた。
決して短いとは言えない家までの帰り道を徒歩で帰る、家に着く頃にはの身体芯まで冷え切ってしまっていた。
それと言っても毎回のことだし、慣れはしないが驚きもしない、いつもの事なのだから……
まずは凍える身体を温めるため風呂に入る、そして今日1日の事を振り返るのが文香の日課だ。
そして風呂から上がると真帆が作ってくれた夕食を食べる、決して豪華な食事ではないしお腹も満足に膨れる訳じゃない、
しかし真帆が作った料理はとてもとても美味しいのだこれは文香にしか分からない事だろう。
1人でする食事も悪くない、好きな動画やテレビを見ながら食べれるからだ、食事を済ませるともうすぐベッドへ行って寝てしまう。
行きたくもない学校へ行きやりたくもないバイトを一日中してるんだ、すぐに寝てしまって当然なのだ。
しかし文香はその事に対してとても罪悪感を抱いているのだった、家に帰って勉強や友達とのライン、インスタもせず寝てしまうのだから。
文香の周りにはアルバイトをする生徒なんて1人としていなかった、だから文香は友達もろくに出来ず誰も恨むことも出来ず罪悪感に苛まれながら眠りにつく事も少なくないのだ。
しかし罪悪感に苛まれるよりもある憧れを抱きながら眠る事の方が遥かに多い。
そしていつもの朝がやって来る、文香が起きる朝7時に真帆が帰ってくる、夜勤で働いているので文香が起きる頃に仕事から帰ってくるのだ。
親子2人が屋根を共にする唯一の時間だ、一緒に朝食を食べるやっぱり真帆の作る料理は格別なのだ。
眠たそうに目を擦る真帆に少し気を使いながら昨日起こった些細な事を共有する2人にとっての特別な時間がもうすぐ終わる、そして文香は高校へ真帆はベッドへ向かうのであった。