一夏夕涼み

「こんにちは、さっきぶりだな」

「うん、小松さんは私の母の姉で私の叔母さんなの」

「小松のおばさんのとこの姪っ子さんてわけか」

文香も緊張していたのかさりげなく振る舞っていた様に思う。

母さんたちが「なんだあんたら知り合いなのかい?」って聞くから、帰りに海でたまたま見かけたと話した。

母さんたちは仲良くやんなよと言いながらゲラゲラ笑っていた、全く。

挨拶を済ませてしまうと、文香と小松さん他にも挨拶があるからと行ってしまった。

全く姪っ子が一夏を浦戸に過ごしにきたくらいで、えらい大袈裟だなぁ。

もう日が暮れて家に入り自分の部屋に戻ると机に腰掛けた。

大志の家は木造のログハウスの様になっている、父さん啓郎が一から設計して立てた家だ。俺はこの家がすごく気に入ってる、広い気の香りも、部屋の居心地も申し分ない。

俺の部屋は3階の屋根裏部屋だ、本当に映画なんかでよく出てくる様な部屋だ、そこでいつも考えたり服を作ったりしている。

机に向かって海での出来事を反芻していると、下が騒がしい、お客さんがきたのか。

一階に降りると小松さんがきていた、まさか、、、
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