一夏夕涼み

11章


 みんな文香に興味深々だった、特に桜は文香とすぐに仲良くなった。

俺たちは桂浜に向かった、夏が始まって桂浜も人が増えて活気付いていた。

夜の浜風が涼しく心地いい。

俺たちは手頃な枝や流木を集めて焚き火を作った、その周りを囲んで遅くまで話し込むのが俺たちの遊び方だ。

「こんなの東京じゃ絶対できないわ」

文香が嬉しそうに火を見つめながら呟いた。

「そうだろ今夜は文香のことを聞かせてくれないか?」

「私のこと?そんな話せる様なことなんてないよ」

文香は照れた様な、申し訳ない様な複雑な表情をした。

「別になんだっていいんだ、好きな食べ物とか、趣味とかなんでも」

直輝が気さくに話しかける。
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