一夏夕涼み

12章

 俺は部屋の壁に白い布を被せてプロジェクターを映し出せるようにした、そして本棚かれグーニーズのDVDを探す。

俺の本棚には大量の本や漫画やDVDや雑誌が詰め込まれている、しばらくグーニーズは観ていなかったから棚の奥の方にあるみたいだった。

「全く相変わらず凄い量だな大志」

直輝が言う、まぁ浦戸でここまで集めるのには相当な根性がいるみたいだ、けれど俺は好きでやってる訳だし全然苦でもないんだけれど。

「これ大志くんが好きで集めたの?」

文香が興味深そうに本棚を見つめて言う。

「あぁそうだよ、全部俺がファンで集めたの」

文香は「ふーん」と頷きながら漫画の棚から一冊取り出した。

「これ週間少年ジャンピで連載やってる単行本じゃん!私好きなんだよなー」

文香は俺が大好きな漫画「ガンガンガローン」を取って言った「ガンガンガローン」は好みが分かれるニッチでディープな漫画なんだけれど、それが好きだなんて。

「これを好きな人は珍しいな、東京では人気あるの?」

「いやファンは少ない方だと思うよ、その分熱心な人が多いよ、ほらニッチでディープだし」

まぁそうだろうな、けれども俺は自分が好きなものが文香も好きでいることが嬉しかった。

なんだか不思議な所を介して繋がっている気がするんだ。
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