一夏夕涼み
文香におやすみを言ってからどれくらい時間が経っただろう、夜が深まり静寂がましていく。
開いている窓から夜風が吹きカーテンを靡かせる、部屋に月明かりが差し込む。
そして案の定俺はうまく眠れずに天井を眺めていた、あぁ眠れない、トイレに行こう。
トイレから帰ってくると文香が座って窓の外を見ていた。
「なんだまだ起きてたのか」
「うん、やっぱり浦戸にきて初めての夜だし眠れない」
それは仕方ないだろう、初めての夜なのにこんなに人を連れてしまったから文香も落ち着かないのだろう。
時計を見ると午前3時を過ぎたところだった。
「どうしても眠れそうにない?」
俺がそう問いかけると文香はコクリと頷いた。
「そしたら一緒に外の空気吸いに行こうーぜ、俺も眠れる気がしないし、こいつら起こしたら面倒が増えるだけだしな」