一夏夕涼み
5章 文香 編

 文香は始業のチャイムギリギリに教室に入った。

つまらない先生の話しを聞き授業が始まっていく、文香の席は教室の1番後ろの窓側だ、居眠りしてもバレないこの席を文香は気に入っているのだ。

やっと授業が終わり休み時間に入る、文香は休み時間は一人で過ごすことが多い。

それは周りが文香を避けているのではなく、ただ文香は一人で過ごしているから周りは声をかけないのだ、ただそれだけなのだ。

また授業が始まる、先生が黒板に数式を書き始める、この先生はなぜか文香に視線を寄越しがちだ。

それも文香も気付いていないはずがない、先生と必死で目の合わないようにノートを取る。

先生が回って来たいつも話しかけられないように必死に願っている、けど
そんな願いは誰も聞いてくれない。

「足立さんこの問題できてないじゃないか」

文香は本当にこの時間が嫌だが、やっと過ぎ去ったように、チャイムが鳴った。
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