声が出た暁にこの想いを君に





すると、わたしの文面に彼は鼻で笑った。






「はっ……そんな偽善、間に合ってますよ。こんな野郎に構って、無駄に濡れるくらいなら早く帰ったらどうです」








……駄目だ。




こういう人は言っても聞かないタイプなんだろう。




わたしは、立ち上がりながら彼から傘を離し、彼に負けず劣らずのびしょ濡れ感になった自分を入れれば、

それでいい、と言うように彼は口角を上げた。







わたしが帰る、そう思ったんだろうけど……

残念ながらそうじゃなく、






わたしは地面に傘を放った。





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