声が出た暁にこの想いを君に
自己防衛
三階建ての小さめなマンションのエレベーターに乗り、廊下を進んですぐ家の前に着いた。
わたしが足を止めれば、すぐに彼も足を止める。
時折、後ろをついてくる彼を気にしつつ無事に雨のないところへと連れてこれたことに、まずは一安心。
「……ここなんですか?」
うんうん、と二度頷いて、わたしはバッグから鍵を取り出し、ドアを開けて先にわたしが入り、電気をつけて彼に手招きする。
「……はぁ」
また溜め息をつく彼だけど、さほど気にならなかった。