声が出た暁にこの想いを君に
雨の日に
──三月某日
体育館ステージに掲げられる
"卒業証書授与式"の垂れ幕。
一人ひとり受け取った証書を手に、"起立"の合図で立ち上がり、登壇した校長先生へと注目する。
堂々と卒業生であるわたしたち、そして保護者に向けたお決まりの言葉が並べられていく。
毎年卒業式での校長先生の話は長いと噂されていたため、わたしは早々に聞き流すことにした。
聞く振りをしつつ、ステージの垂れ幕を眺め、約一月後の自分の姿を想像する。