声が出た暁にこの想いを君に
「まぁ、それなら一応話す義理と言うか、何でこんな状態になったかを聞きたいなら話しますが?」
嫌じゃないなら聞きたいと思う。
わたしが思っている通りなのかを、知りたい。
彼にぎこちなく頷きながらボードを手にし、もしやとうっすら感じていた人たちのことを書いた。
【三人組の男の人?】
読んだ彼は目を見開き、動揺を見せた。
「……何で知ってるんですか?」
【すれ違ったから】
ボードの言葉を消してはまた書いて、時間はかかるけど彼との会話を成立させていく。
待たせる時間に申し訳なさは抱いているから、少しなぐり書きになってしまうけれど、彼は催促したり、苛立ったりしていない。
例え苛立ちをおぼえていたとしても、表には出していないから、ありがたいことだ。
「……すれ違った、ね。確かにあいつらが帰って直ぐに貴方が現れましたし。とまぁ、その三人のうちの一人にやられたわけです。理由は……」
と話し始めた彼だが、わたしの持つボードを掴み、テーブルに置いた。
「長くなるので、置いといていいですよ。ずっと持ってても疲れるでしょう」
気を遣ってくれたのだろうか……
置かれたボードに"ありがとう"の意味を込めてわたしは笑顔を見せた。
はいはい、と軽く流されてしまったけど。