声が出た暁にこの想いを君に
一呼吸して、彼は続きを話し始める。
「俺は、ホストクラブの裏方として働いていたんです。だから接客はしないんですけど……ある常連の客にいつもついてる担当が言われたそうです。俺を指名したいって」
彼は怪訝そうな顔をしながら続ける。
「最初は冗談半分に聞いて流してたらしいんですけど、何度も俺を指名したいと言う客に、苛立ったんでしょう。中々羽振りの良い客でしたから……まぁそれであの公園でっていう流れです」
──この人がホストクラブって意外……裏方だとしても
でも、彼の話で合点がいった。
『ほんとスッキリしたぜ』
彼を殴った人と、
『でもお前ちょっとやりすぎじゃねっ?』
『客のひとりふたりくれてやれよー』
ホスト仲間であろうスーツ姿の二人。
常連さんをとるな、そういう意味で彼を痛めつけたんだ、と。
だとしても──
【あなたは何も悪くないのに。ひどい】
と、わたしはまたボードを持って彼に見せれば、
読んでくれた彼は少しの間を空けて、殴られた頬に手を当てた。
「……そんなもんですよ。人って。気に食わないと何かしら言ってきたり、したりね。でも明日からあいつの顔見なくて済むのは、せいせいしますけど」
【じゃあ、無職?】
「そうなりますね。殴ってきたやつのとこに居候してたんで、家もないですけど。なんとかやっていきますよ。家賃とかも折半だったから、貯金はそれなりですし」