声が出た暁にこの想いを君に





濡れた靴の跡が残る玄関床を見てから、わたしは新聞紙を丸めゴミ箱へと捨てた。



マグカップもキッチンに運んで桶にうるかすと、視界の端に白い袋が映る。




──あ、すっかり忘れてた。




ずっと放置していた買い物袋の中身を取り出して、冷蔵庫にしまい、すぐにお弁当を温める。



……お腹空いた。







テーブルにほかほかになったお弁当を運び、手を合わせて食べはじめる。


その間に携帯で週間天気予報へと目を通し、洗濯物をどうするか頭の中で考えながら、わたしは卵焼きを口に運ぶ。



明日は昼過ぎから雨マークか。なら、昼前に取り込んで……



読みかけたままの漫画でも読んでしまおうっ。





あれ、何巻読んでたっけな……






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