声が出た暁にこの想いを君に
雨男
──あ、ほんとに降ってきた。
ちゃんと洗濯物いれといて良かったなぁ。
漫画を読んでいると、パラパラと降っていた雨の音が強く耳に届き、14時とは思えないほど部屋が暗くてなった。
──目、悪くなりそう。
ずっと座っていたわたしは、重い腰を上げて部屋の明かりをつける。
明るさに顔をしかめつつ、
ついでに冷蔵庫からお茶のボトルを持って戻り、また続きを読み進める。
──おやつ時の時間になり、やっと読み終えた漫画を閉じる。
何かあったかな。
お菓子買ってたっけ……と漫画本をしまいながらキッチンへ。
──あー、プリンか……
甘いものよりしょっぱいものが食べたい気分だったのに。
妥協してプリンを食べる気にはならず、冷蔵庫をしめた──地味に残念だ。
肩を落としたところに、
激しく玄関のドアを叩く音が響く──
──っえ、何?
鍵はしっかり閉めてるけど、一人暮らしの身には危機を感じるわけで……
ダンダン!と鳴り響く中、ゆっくりと玄関穴を覗きに、わたしはすり足で向かった。