声が出た暁にこの想いを君に
──珈琲でいいかな。嫌いじゃなさそうだし。
またも三種類並べて考えたが、珈琲のスティック二本を出して、ココアと紅茶をしまおうとした時、彼が出てきた。
目が合うなり、乱雑に纏めた濡れた服を持ちながらこちらに歩いてくる彼。
「ありがとうございました。律儀にまた淹れてたん……あ、紅茶あるんですね」
もしかして、紅茶の方が良かったかな。
手に持つ紅茶の箱を上げて、
『これにします?』
と口パクでもゆっくり伝わるように言えば、"それで"と短い返事が返ってきた。
──紅茶好きなのかな……
わたしがお茶を入れる横で、彼は濡れた服をビニールに押し込んでいた。