声が出た暁にこの想いを君に
またマグカップがテーブルに二つ。
わたしのはココア。彼のはリクエストの紅茶。
先に座っていた彼の前にわたしがマグカップを置けば、髪をタオルで拭いていた彼が
「ありがとうございます」
早速一口飲んだ。
「……ん、美味しい」
向かい側に座って、わたしはテーブル下のボードを取り出し、彼との会話の準備をしようとしたけれど、髪を拭くのをやめてしまう彼を一瞥する。
全然乾いてない。めちゃくちゃ滴ってる……
「何ですか」
なんでドライヤー使わなかったんだろ。
……だから上がってくるのが早かったのね。
もう。
座った矢先に脱衣所からドライヤーを持ってきて、コンセントを差してから彼に渡した。
「乾かせと?」
『うん』
「良いじゃないですかめんどくさい……そのうち乾き……ちょっ!」
ドライヤーのスイッチONかつ強モードにした風を彼にあてれば、
「わかりましたってば!」
大人しく髪を乾かし始めた。
わたしは彼の向かいに座り、ココアで一服。