声が出た暁にこの想いを君に




──ボードに聞きたいことを書いて待つこと五分。ドライヤーの音が消え、コンセント抜いた彼はわたしに向き直った。



「乾きましたけど」





【昨日はどちらに?ホテルですか?】



「……近くにあるネカフェですよ。昨日あれからすぐ寝て、昼ギリギリまで寝腐ってから古着屋に行って色々買ったんです。置いてきてしまったので」




置いてきたのは、居候していたホストの人の家のだと、すぐ理解がいく。



「それでそのままコインランドリーで洗って、何か食べようかと思ってたら……おもいっきり降ってきやがったんです」





眉間にシワを寄せる彼に、わたしの口は緩んだ。


降ってきやがったって……



【天気予報見なかったんですか?】



「見ませんよ一々」



【雨男?】



「いや、予報通りなんでしょう。雨男関係なくないですか?……何笑ってんです?」



くすくすと笑うわたしに、彼は溜め息つく。

そう言えば今更かもだけど、と今ふと思っていたことを彼に書いて見せた。




【敬語じゃなくて大丈夫ですよ?】





彼はずっと敬語で話すから。


……たまに違うけど。



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