声が出た暁にこの想いを君に
仕事帰り、わたしはスーパーへと寄った。
──さっきより激しくなってる……。早く帰ろ。
どんよりと暗い空を見上げ、傘をひらいて、
買い物をした袋を手に、わたしは帰路につく。
雨のせいでいつもより暗い空と道に、不思議と歩く速度が早くなる。
──今日はさっき買ったお弁当で済ませちゃおっかな。
雨のせいで客の足取りが鈍るせいか、スーパーの見切りがいつもより早くされていて、ラッキーだった。
おかげで楽に食事ができる。
そう思いながら角を曲がれば、ぶつくさ話しながら歩いてくるスーツ姿の三人の男が。
「ほんとスッキリしたぜ」
「でもお前ちょっとやりすぎじゃねっ?」
「客のひとりふたりくれてやれよー」
笑いまじりに話す三人とのすれ違いざま、わたしは傘を避けながら通過した。
──何の会話だろ。
なんて、わたしが気にしても意味がない。
道路にできた水溜まりを避けながら、歩いていると、横目にチラリと見えた人影。
──ん?
わたしの右手にあるのは公園だけど……こんな雨の中で誰も遊ぶわけないのに。