声が出た暁にこの想いを君に
ともだち




彼の看病をし迎えた週末。





仕事前、わたしは病院にいた。



待ち時間に携帯を確認するも、あれから連絡は来ていない。
自分から大丈夫か、と送ることも出来ないわけじゃないけど……待っていようと思う。






「島影 小夜子さん、どうぞ」



『はいっ』



わたしの声にならない返事に、事情を把握している女の人は、優しく笑って案内してくれる。





診察室に入り担当の先生に一礼して椅子に座れば、先生も笑顔を返してくれた。




「はい、こんにちは。……どうかな?痛いとか違和感とかはないかな?」



『ないです』



首を振ってより伝わりやすくする。




「そうかい。仕事は慣れた?」



『楽しいです』



「それは良いね」



わたしの卒業後をどうするのか、声の出ないまま進学なのか就職なのか……悩んでいた時に先生も相談にのってくれたことがあった。

だから先生は今のわたしの生活を理解して診察してくれている。

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