声が出た暁にこの想いを君に
*─*─*
児童館に着き、玄関前で靴を脱いでいると後ろから肩を叩かれた。
「おはようございます。島影先生」
『おはようございます』
ここの児童館唯一の若い男の先生──門馬裕也先生。
優しくて爽やかな印象を持っていて、手先が器用だけど運動は少し苦手という一面も持ち合わせている。子供たちからの人気が高い先生だ。
「大丈夫だった?」
わたしが午後勤務の理由──病院に行ってくることを職員には話してあるため、門馬さんは気にしてくれたのだろう。
『と、く、に』
軽く首を振りながら伝えれば、門馬さんは薄く微笑んでまたわたしの肩を叩いた。
「お疲れ様。それで来て早々なんだけど、今日の工作の時間──」