声が出た暁にこの想いを君に





──下校時間を迎え、続々と子供たちが帰ってくる。
子供たちの出迎えをするため、わたしと門馬さんは玄関前で待っていた。




「ただいまぁー」

「まぁー」



「こーら、ただいまでしょ?」

「はーい!」



門馬さんの怒り方は優しい。故に子供たちに甘いと厳しい先生は言っているが。




「小夜子せんせ、ただいま!」


『おかえり』




「小夜子先生、トランプしよー」


「おれもやりたい!」




子供たちに手を引かれ、先に玄関から離れるわたしに気付いた門馬さんは、笑顔で頷いてくれた。





「じゃあババ抜きからね!」







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