声が出た暁にこの想いを君に
『ほんとスッキリしたぜ』
『でもお前ちょっとやりすぎじゃねっ?』
『客のひとりふたりくれてやれよー』
──会話の内容的に、もしやあの男の人たちに、彼は何かされたんじゃ……
だとしたら、立ち上がれないのも動けないことにも納得がいく。
どこか痛くてあぁしているのかもしれない。
もしそれが事実なら、ただ事ではないんじゃないかと、わたしは一歩……また一歩と、彼に近付いていった。
足をける度に出る土のぬかるみ音で気づいたのか、はたまた気配で気づいたのかは分からない。
わたしが彼の前に立った時、微動だにしなかった彼の手が、にわかに動いたのだ。