すすかけの木陰で
身体が弱いのは生まれた時からだった。アレルギーは50種類くらい持っていて、食べられるものが限られている。だから、小学校の給食の時間はみんなとは違うメニューだったし、中学校にあがっても、高校にあがっても、友達にご飯に誘われた時は断ってきた。私の人生は、完璧に、そして悉く、人から遠ざかってきた人生だった。部屋のドアを閉めて、鍵をかける。アパートの踊り場から見ると、空は灰色の厚い雲に覆われ、今にも雨が降りそうだった。私はリュックの中をまさぐり、折りたたみ傘があることを確認して、大学へ向かった。
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