すすかけの木陰で

第二章

大学の中庭のベンチでのんびり本を読んでいたら、急に正面に影が落ちた。
「こんにちは」私に声をかけたのは、この前図書館で本を拾ってくれたお兄さんだった。
「あ、こんにちは、この前の……」
「はい、この前の人です。」
すると、大きな風が吹いて、からからとすすかけの落ち葉が落ちて、私の膝に乗った。彼はその落ち葉を拾って、言った。
「何読んでるの?」
「プライドと偏見です」そうして、彼はへえと言った。

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