早河シリーズ第四幕【紫陽花】
 新幹線が新横浜を過ぎてさらに西へ走る。神戸まで2時間40分の旅だ。

 なぎさの座席は三人席の通路側。同じシートには窓側に新人女優の沢木乃愛、中央にヘアメイクの西森結衣が座っている。

なぎさのいる座席と通路を挟んだ反対側の二人席には玲夏がひとりで座っていた。

 玲夏のマネージャーの山本沙織は抱えている他のタレントの仕事の都合で、急遽神戸ロケ初日に同行できなくなった。沙織は明日、撮影に合流する予定だ。

沙織がいない間の玲夏のスケジュール管理や身の回りの世話をなぎさが引き受けることになった。付き人の仕事や潜入調査のフォローをしてくれる沙織がいないのは非常に不安だが、やるしかない。

(それにしても疲れた。情報通り、速水杏里には要注意かも)

容疑者リスト③ 速水杏里
26歳。本名同じ

元グラビアアイドル。女優歴4年。
演技は下手ではないが上手くもなく、ドラマよりはCMやバラエティー起用が多い。北澤愁夜と同じく、芝居よりは顔で売っている。

ワガママで女王様気質な性格のために、業界での評判は悪い。

 杏里の役は柚希(本庄玲夏)の妹が殺された事件を取材する雑誌記者、末永瞳役。


~速水杏里が容疑者になる理由~

・玲夏がオファーを受けた再来年公開予定の映画の主役候補として杏里も浮上していた
・北澤愁夜と交際中(遊びか本気かは不明)


 恋人の北澤が玲夏に言い寄っていたこと、映画の主演が玲夏に決まったことで玲夏を恨んでいる? 嫌がらせが始まったのが玲夏に映画主演のオファーが来た直後ということで、嫌がらせの犯人の可能性が極めて高い。
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