早河シリーズ第四幕【紫陽花】
レシートに記載された品目は〈インスタントのカップ麺が5個、スナック菓子2個、缶ビール2個、ミルクティー1個、ボディ用汗拭きシート1個、ミルフィーユアイス1個、ピンクバタフライ1個〉
レシートの表示でひとつだけ商品名を見ても何かわからないものがあった。
『このピンクバタフライって何だと思う?』
「女物の何かでしょうか? 聞いたことはないですけど……化粧品?」
『平井が買ったんだからピンクバタフライってヤツはこの部屋のどこかにあるはずだ。いや、ピンクバタフライ……?』
早河は携帯を取り出してインターネットに接続した。
「心当たりが?」
『“ピンクバタフライ”、如何《いか》にもそういう物の商品名じゃないか?』
「そういう物?」
『大当たり』
携帯電話の画面を真紀に見せる。早河の携帯はウェブサイトに繋がっていて、ある商品のページを表示していた。
真紀の眉間にシワが寄る。
『正体はコンドームだ。……そんな嫌そうな顔するなよ。シワ寄ってるぞ』
「早河さんがピンクバタフライって名前だけですぐにコンドームに結び付いたことがやっぱり男なんだなと思っただけです」
『お前、俺のこと今まで何だと思ってたんだ?』
「そういう目で一度も見たことがないから仕方ないじゃないですか」
そっぽを向く真紀に肩をすくめて、早河はピンクバタフライの商品ページを閉じた。平井がコンビニで購入した物は把握できた。
「ついでに聞きますけどコンドームってひとりの時でも使います?」
『人によるが、自分で処理するだけならなくてもいい。自慰のためにわざわざ金を出してまで買わないだろう』
「ですよね。そうなると平井にはコンドームを使う予定があった?」
『6月7日にこの部屋に女を連れ込んだかもしれねぇってことだ』
早河は台所のゴミ箱に、真紀は洋室の隣の和室に向かった。
「買い置きのカップ麺にコンドーム、ますます自殺する人間の買い物とは思えません。ミルフィーユアイスも平井じゃなくて連れの女が食べたのかも」
和室のカーテンは閉められていて薄暗い。パイプの枠組みのベッドは掛け布団が綺麗に折り畳まれている。
ベッドの他にはスチール製の机があり、デスクトップのパソコンが載っていた。
レシートの表示でひとつだけ商品名を見ても何かわからないものがあった。
『このピンクバタフライって何だと思う?』
「女物の何かでしょうか? 聞いたことはないですけど……化粧品?」
『平井が買ったんだからピンクバタフライってヤツはこの部屋のどこかにあるはずだ。いや、ピンクバタフライ……?』
早河は携帯を取り出してインターネットに接続した。
「心当たりが?」
『“ピンクバタフライ”、如何《いか》にもそういう物の商品名じゃないか?』
「そういう物?」
『大当たり』
携帯電話の画面を真紀に見せる。早河の携帯はウェブサイトに繋がっていて、ある商品のページを表示していた。
真紀の眉間にシワが寄る。
『正体はコンドームだ。……そんな嫌そうな顔するなよ。シワ寄ってるぞ』
「早河さんがピンクバタフライって名前だけですぐにコンドームに結び付いたことがやっぱり男なんだなと思っただけです」
『お前、俺のこと今まで何だと思ってたんだ?』
「そういう目で一度も見たことがないから仕方ないじゃないですか」
そっぽを向く真紀に肩をすくめて、早河はピンクバタフライの商品ページを閉じた。平井がコンビニで購入した物は把握できた。
「ついでに聞きますけどコンドームってひとりの時でも使います?」
『人によるが、自分で処理するだけならなくてもいい。自慰のためにわざわざ金を出してまで買わないだろう』
「ですよね。そうなると平井にはコンドームを使う予定があった?」
『6月7日にこの部屋に女を連れ込んだかもしれねぇってことだ』
早河は台所のゴミ箱に、真紀は洋室の隣の和室に向かった。
「買い置きのカップ麺にコンドーム、ますます自殺する人間の買い物とは思えません。ミルフィーユアイスも平井じゃなくて連れの女が食べたのかも」
和室のカーテンは閉められていて薄暗い。パイプの枠組みのベッドは掛け布団が綺麗に折り畳まれている。
ベッドの他にはスチール製の机があり、デスクトップのパソコンが載っていた。