早河シリーズ第五幕【揚羽蝶】
8月の半ば、サークルの合宿で千葉を訪れた。海で泳ぎ、バーベキューをし、最後はビールで乾杯……合宿とは名ばかりの泊まり掛けの飲み会だ。
このサークルのメンバーは楽しいことならなんでもやるを信条にしている。僕には理解し難い人間の集まりだったが、今はこの集まりにいるのも悪くないと思えた。
無心になり、馬鹿みたいに騒いで遊ぶ時間が必要な時期がある。
日が落ちて、海岸沿いに集まりビールを飲んでいる時に杏奈のことを考えた。杏奈に会いたかった。
花火をしてはしゃぐ仲間達をぼんやりと眺める僕の隣に加奈子が座る。
「今ならみんな花火してるからログハウス誰もいないよ。ねぇ慎也ぁ?」
Tシャツに覆われた肉感的な胸元が僕の肘に当たる。すぐそばに人がいるのもお構い無しに加奈子は僕の下半身に手を伸ばして、ズボンの上から僕を刺激した。
「高校生で満足できるの? 性欲溜まってない?」
杏奈との繋がりは満足できるできないの問題ではない。相手が杏奈なら僕はそれで満たされた。
けれど、とろんとした目で必死に訴えかけてくる加奈子を強く拒絶もできない。
『わかった。行こう』
これは浮気になるのか? 今まで気にしたことがなかったからよくわからない。
ああ、でも、杏奈が他の男に抱かれるのは嫌だ。そうか、これが独占欲と罪悪感なのだ。
杏奈の裸は綺麗だと思えたのに、加奈子の裸を見ても何も思えない。豊満な加奈子の胸よりも、杏奈のまだ成長途中で小ぶりな胸が好きだ。
キスで舌を絡めて、義務的に吸い付き、舐めて、挿れて、出すだけ。
加奈子とはこの行為を高校時代から何度したかわからない。身体を重ねた回数なら加奈子が最多だ。
思えば僕の初めての相手も加奈子だった。加奈子の初めての相手は僕ではない。
愛がなくても性交はできるが、愛のある性交は杏奈とだけ。
加奈子とは精子の放出のためだけの行為だった。高校の頃から、ずっと。
それを加奈子に申し訳ないと思えない僕は人としてどこか欠落している。
加奈子だって恋人がいる男を平気で誘惑する女だ。お互い様だ。
このサークルのメンバーは楽しいことならなんでもやるを信条にしている。僕には理解し難い人間の集まりだったが、今はこの集まりにいるのも悪くないと思えた。
無心になり、馬鹿みたいに騒いで遊ぶ時間が必要な時期がある。
日が落ちて、海岸沿いに集まりビールを飲んでいる時に杏奈のことを考えた。杏奈に会いたかった。
花火をしてはしゃぐ仲間達をぼんやりと眺める僕の隣に加奈子が座る。
「今ならみんな花火してるからログハウス誰もいないよ。ねぇ慎也ぁ?」
Tシャツに覆われた肉感的な胸元が僕の肘に当たる。すぐそばに人がいるのもお構い無しに加奈子は僕の下半身に手を伸ばして、ズボンの上から僕を刺激した。
「高校生で満足できるの? 性欲溜まってない?」
杏奈との繋がりは満足できるできないの問題ではない。相手が杏奈なら僕はそれで満たされた。
けれど、とろんとした目で必死に訴えかけてくる加奈子を強く拒絶もできない。
『わかった。行こう』
これは浮気になるのか? 今まで気にしたことがなかったからよくわからない。
ああ、でも、杏奈が他の男に抱かれるのは嫌だ。そうか、これが独占欲と罪悪感なのだ。
杏奈の裸は綺麗だと思えたのに、加奈子の裸を見ても何も思えない。豊満な加奈子の胸よりも、杏奈のまだ成長途中で小ぶりな胸が好きだ。
キスで舌を絡めて、義務的に吸い付き、舐めて、挿れて、出すだけ。
加奈子とはこの行為を高校時代から何度したかわからない。身体を重ねた回数なら加奈子が最多だ。
思えば僕の初めての相手も加奈子だった。加奈子の初めての相手は僕ではない。
愛がなくても性交はできるが、愛のある性交は杏奈とだけ。
加奈子とは精子の放出のためだけの行為だった。高校の頃から、ずっと。
それを加奈子に申し訳ないと思えない僕は人としてどこか欠落している。
加奈子だって恋人がいる男を平気で誘惑する女だ。お互い様だ。