早河シリーズ第五幕【揚羽蝶】
美月をベッドに降ろした隼人はネクタイを緩めて引き抜いた。
「ごめんね。隼人の服……涙で汚しちゃった」
『美月の涙は汚れにも入らねぇよ。まぁ泣くなら、嬉し泣きとベッドの上だけにしような』
「……バカ。過保護! 溺愛! 変態彼氏!」
『そのバカで過保護で溺愛の変態彼氏が好きなんだろ?』
勝ち誇って笑う隼人の顔に見惚れてしまい、美月はいつも負かされる。
上半身裸になった隼人が美月の上に覆い被さり、脱がされた美月の服が床に散らばった。
隼人に導かれて美月はベッドに座る彼の膝の上に跨がった。対面する二人の間にはそそり立つ男の分身が覗いている。
美月がそこにゆっくり腰を落とす。充分に濡れた美月の中に隼人が入り込み、二人の甘い吐息が広がった。
『忘れちまえ。俺が全部、忘れさせてやる』
美月の白い胸に顔を埋めた彼は紅色の突起を口で弄ぶ。隼人の腰と美月の腰がゆらゆら、ゆらゆら、淫らに揺れた。
『気持ちいい?』
「うん……もっと。もっと欲しい」
『欲しがりだなぁ。甘えん坊な美月、めちゃくちゃ可愛い』
隼人に下から突き上げられて美月が啼《な》く。舌を絡めたキスをして、ぎゅっと抱き締め合って密着する。
隼人の首筋の匂いを嗅ぐとホッとした。いつもの、嗅ぎ慣れた隼人の匂いだ。
繋がりはそのままに優しくベッドに倒された美月は、無我夢中で彼にしがみついた。隼人の汗が滲んだ背中は大きくて、頼もしかった。
上で揺れる隼人の汗が美月の顔に落ちて、無意識に流れた彼女の涙と彼の汗がひとつに交ざる。
もっと奥まで、もっと深く、ひとつになってとけていく。とけて、とろけて、じゅわっと溢れる。
事件のことも、チェーンメールのことも、3年前のことも、嫌なことは全部、忘れてしまおう。
隼人の愛に包まれた一夜はすべてを忘れさせてくれる瞬間だった。
第二章 END
→第三章 交錯 -ワスレナグサ- に 続く
「ごめんね。隼人の服……涙で汚しちゃった」
『美月の涙は汚れにも入らねぇよ。まぁ泣くなら、嬉し泣きとベッドの上だけにしような』
「……バカ。過保護! 溺愛! 変態彼氏!」
『そのバカで過保護で溺愛の変態彼氏が好きなんだろ?』
勝ち誇って笑う隼人の顔に見惚れてしまい、美月はいつも負かされる。
上半身裸になった隼人が美月の上に覆い被さり、脱がされた美月の服が床に散らばった。
隼人に導かれて美月はベッドに座る彼の膝の上に跨がった。対面する二人の間にはそそり立つ男の分身が覗いている。
美月がそこにゆっくり腰を落とす。充分に濡れた美月の中に隼人が入り込み、二人の甘い吐息が広がった。
『忘れちまえ。俺が全部、忘れさせてやる』
美月の白い胸に顔を埋めた彼は紅色の突起を口で弄ぶ。隼人の腰と美月の腰がゆらゆら、ゆらゆら、淫らに揺れた。
『気持ちいい?』
「うん……もっと。もっと欲しい」
『欲しがりだなぁ。甘えん坊な美月、めちゃくちゃ可愛い』
隼人に下から突き上げられて美月が啼《な》く。舌を絡めたキスをして、ぎゅっと抱き締め合って密着する。
隼人の首筋の匂いを嗅ぐとホッとした。いつもの、嗅ぎ慣れた隼人の匂いだ。
繋がりはそのままに優しくベッドに倒された美月は、無我夢中で彼にしがみついた。隼人の汗が滲んだ背中は大きくて、頼もしかった。
上で揺れる隼人の汗が美月の顔に落ちて、無意識に流れた彼女の涙と彼の汗がひとつに交ざる。
もっと奥まで、もっと深く、ひとつになってとけていく。とけて、とろけて、じゅわっと溢れる。
事件のことも、チェーンメールのことも、3年前のことも、嫌なことは全部、忘れてしまおう。
隼人の愛に包まれた一夜はすべてを忘れさせてくれる瞬間だった。
第二章 END
→第三章 交錯 -ワスレナグサ- に 続く