一ノ瀬さん家の恋愛事情。
初めてのデートのお誘い。

それにその日はバレンタインデー、二月十四日。

私はその日から張り切って毎日チョコづくりの練習。

優ちゃんに喜んで欲しくて、初めてのデートが嬉しくて。

「行こっか。」

今日の優ちゃんも相変わらずかっこよくて、ドキドキしちゃう。

私、会うたびに優ちゃんのこと、好きになってる気がするの。

「今日はどこに行くの?」

「律兄からこれ、もらったんだ。だから行かない?」

優ちゃんが取り出したのは水族館の割引チケット。

「行きたい!」

実は初デートで行きたいって思ってたところ、水族館なんだよね。

「よし、じゃあ行こう。」

優ちゃんは一旦歩き出して、そしてなぜか立ち止まった。

「優ちゃん?どうしたの?」

何か忘れ物でもしたのかな。

「…みい、手、繋いでもいい?」

顔を少し赤くした優ちゃん。

また、好きになる。

「…うん。」

付き合ってから二ヶ月目、未だに男の子の手が大きいことに慣れない。
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