一ノ瀬さん家の恋愛事情。
「特になにも。」

「そっか!ならさ、軽音部入ろうぜ!」

軽音部?

って確か、ギターとかそういうやつだよな?

「俺、ドラムやってんだけどバンドのメンバー集めてて、そんであとベースだけ足りないんだ!だからさ、どう?」

「俺、音楽とかやったことないけど…」

「あー、いいのいいの、楽しけりゃいんだからさ!」

本当は少し面倒だ。

家は毎日当番制で晩御飯を作ったりしてる。

就活が始まった律兄と留学準備中の優兄、それから受験生の玲兄と愛姉は今までどおり当番をするっていうけど、俺はみんなの力になりたいからできるだけ俺が進んでやろうって思ってる。

「ちょっと考えてもいい?」

「おう!よろしくな!」

そう言うと榎本は教室をバタバタと出て行った。

あいつ、でっかいから運動部かと思った。

でも考えるとは言ったけど、誰に相談すればいいんだ?

…あいつしかいないな。
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