一ノ瀬さん家の恋愛事情。
案の定、律兄に言うと

「バンド!すごいじゃん!俺、今バイトしてるバーがたまに生演奏してるんだけど、すごいかっこいいんだよ!」

って大賛成。

そして俺は軽音部に入部することになった。

「じゃあ、改めてよろしくな!直!」

「うん、よろしく。」

望はドラムを叩くと全く印象が変わる。

いつもバカみたいに声がでかくて明るいのに、叩いてるときは真剣で、ちょっとカッコいい。

「でも俺と望しかいないじゃん。他のメンバーは?」

「もうすぐ来ると思うんだけど。」

するとタイミング良く、ガラリと部室の扉が開いた。

「望!」

高く良く響く声がして。

「あ、きたきた!こいつがこのバンドのボーカル兼ギター。C組の一木千帆。」

同じ制服を着たその子はとても小柄。

愛姉よりもちっさいんじゃない?

制服が大きく見える。

「で、こっちがベースで同じクラスになった一ノ瀬直。」

「噂の一ノ瀬君!よろしくね!」

人懐っこく笑うその笑顔。
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