一ノ瀬さん家の恋愛事情。
「直もケンジントンにいたことあるのー?私も小六はその辺りに住んでたの。」

「へえ、じゃあどこかで会ってたかも。」

一ノ瀬君とエマちゃんはあっという間に意気投合したみたい。

二人とも海外にいたことがあって、しかも転勤族。

「直は軽音部なの?オアシスとか好き?」

「オアシスはたまに聞いてたかな。日本のロックも好きだよ。」

ちらちら見てたらエマちゃんと目があった。

「咲耶〜!咲耶もオアシス聞く??」

「えっと、ごめんね、あたしあんまり、音楽は…」

せっかく話来てくれたのにつまんないあたし。

「あっ、でもCielは好きだな。」

「しえる?日本のバンド?」

あの日、一ノ瀬君が教えてくれたバンドだ。

「秋山さんCielハマってくれたの?今度ライブ行こうよ!」

ら、ライブ…?

ていうか一ノ瀬君、こうやってサラッと誘っちゃうんだもん。

「えー!いいなー、あたしも行きたーい!ね、直!あたしも行きたい!」

「行こ!めっちゃいいから!ね!秋山さん!」

あたしは曖昧に頷くことしかできなかった。
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