一ノ瀬さん家の恋愛事情。
愛奈ちゃん、それはね…

「それ気になる!」

立ち上がったほのちゃん。

ほのちゃん、落ち着いて!

「好きなひとというか、気になる人?」

「そうなの!教えてよ〜!」

あたしの初恋…


それは中学二年の夏。

美術部だったあたしは夏休みだけど夏のコンクールに向けせっせと作業をしていた。

「一ノ瀬さん、コンクールの絵完成した?」

聞き心地のいい優しい声。

キャンバスから顔を上げるとあたしのことを覗くキラキラした瞳。

「うーん、まだまだ。葉山君は?」

「僕はあとは色塗りかなあ。」

葉山郁哉君。

同じ美術部の同級生で、あたしが最近気になる存在…ではなく!

「ほんと、葉山君すごいよね!」

「一ノ瀬さんの絵もいいよ、色彩がきれいだし、なんか優しさがあるよ。」

いや〜ほんと優しい。

「頑張ろうね!」

「うん!」

「そういえば、お弁当2つあるけど、なんで?」

カバンのそばにおいてあった赤と青の包み。

やばい!

忘れてた!

「今日練習試合だから真兄にお弁当渡すんだった!行かなきゃ!」
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