一ノ瀬さん家の恋愛事情。

この春、七年間住んでいたアメリカに別れを告げて、私達家族は七年前に住んでいた街に戻ってきた。

芹沢未来、十七歳。

新学期からは家からそう遠くない私立の女子校への編入も決まっている。

わたしが編入するすみれが丘女学院はカトリック系の女子校で、結構偏差値も高い、いわゆる地元ではお嬢様学校として有名らしい。

中等部からある学校だけど、見学に行った雰囲気はみんなのんびりしてて、楽しそうだったから決めた。

制服の白いセーラー服も可愛かったし、なにより家から近い。

海外支社のある会社で働く忙しいお父さんの都合で十歳の時からアメリカへ行っていた私は七年ぶりに日本に帰国。

昨日までおばあちゃんの家に行っていて、今日からやっと新しい生活が始まる。

明日からは早速学校も始まるけど、人見知りな私はかなり不安。

「未来、今日の夕飯はおそばにするから、買ってきてくれない？天ぷら用の小麦粉とエビと、あと…」