一ノ瀬さん家の恋愛事情。
本当に何気に言った一言だった。

「今度の日曜。」

最初はその言葉の意味がわからなくて。

「へ?」

「今度の日曜、これ見に行く。」

「あっ、そうなんだ…」

すると一ノ瀬君は少し苛ついたように言った。

「…行く?」

こ、これって誘ってくれるの!?

「は、はい!」

「うるさい、ここ図書室だから。」


というわけで、今日は念願の初デート。

しかもあたしが初デートで理想としていた、映画デート。

なのにちょっと遅れてしまった。

最初から失敗!

「ほら、行くよ。」

「うん、遅れてごめんね。」

にしても、一ノ瀬君、私服初めて見たけどすごくかっこいい!

シンプルなのに、すごくおしゃれ。

きっと着てる本人がかっこいいからだね。

だって道行く人も振り返ってるもん。

「今の人、めちゃくちゃかっこ良かったね!」

「ほんと、アイドルみたい!いいなー、隣の彼女!」

か、カノジョ!
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