一ノ瀬さん家の恋愛事情。
窓の外を眺めるひなの横顔を見つめた。

まつげ、長いな…

本当、可愛い。

こんな気持ち、俺の中にもあったんだな。

迷っていても仕方ない!

もう当たって砕けろだ!

「綾瀬さん、好きです!」

口にした初めての好きの言葉は緊張で少し震えていた。

ひなはびっくりしたように俺を見つめる。

そして白い頬を真っ赤に染めて、笑った。



それから付き合うようになってはや二年半。

俺達は大学三年生になっていた。

ひなとは時間が合えば授業の後、出かけたり、たまに家に来て愛たちと話したりもしている。

長期休みのときは少し遠出して出かけたりもした。

「キスはしてんだろ?」

「ま、まあ…それは…」

初めてキスしたのは付き合い始めて一年の日。

俺のファーストキスだった。

目をつむったまま、唇の位置を認識するのは初めての俺にとってかなりの難度のわざで。

「お前ら奥手すぎ!」
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