一ノ瀬さん家の恋愛事情。
ひな、そんなのさ。

「俺だって同じだよ。」

ひなは俺の言葉に目を丸くする。

「俺だって初めてだし、全然わかんない。…でもそれ以上にひなのことが好きで、触れたいって思うんだ。もっともっと、近づきたいって思う。ひなのこと、全部知りたいって思うんだよ。」

怖さや不安よりもひなのことが好きだって気持ちが大きくて。

「律君…」

こたつから抜けだしたひなは俺の胸に抱きついてきて。

「…ごめんな、ひな。でもひなが嫌なら、少しでもこわいと思うなら何もしないから。ひなの準備ができるまで、俺ずっと待つから。」

二人共が心からそう思えたら、それまで待てる。

多分、待てる。

それくらいに俺にとってひなは大切だから。

「…ありがとう。律君、大好き。」

またそんな可愛いこと言って。

待てるって言ったそばから、やばいぞ。

俺はひなの小さな頭を撫でながら、その手をそのすべすべした白い頬に伸ばす。
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