婚活難民令嬢の幸せもふもふ家族計画~愛のない結婚で狼皇子の継母になった私のはなし~
カタルの執務室に入るのは怪我の治療ぶりだ。つい、不躾に色々と見てしまう。あのときは怪我のことで頭がいっぱいで部屋の中を見る余裕はなかったのだ。
窓を背に置かれた重厚感たっぷりの机には書類が山積みだった。
壁一面の本棚には書庫よりも難しそうなタイトルの本がたっぷりと刺さっている。
カタルは手前にあるソファに座るようシャルロッテに促した。
「悪いが今は誰もいないから、あまりもてなしはできない」
「もてなすだなんて! そういうお気遣いは不要です」
勢いで来てしまっただけで、そこまで長居するつもりもなかった。
「ここは防音魔法が掛かっているから安心しろ」
「そうなんですか? この屋敷は色々仕掛けがあってすごいですね」
「正式な夫人になったらすべて説明しよう」
「ありがとうございます!」
「夫人」という響きが少し恥ずかしかったのだが、シャルロッテは誤魔化すために笑顔をカタルに向けた。
すべては動物と過ごす人生を送るために結婚を決めた。しかし、今は少し違う。アッシュに特大級の幸せを与えたい。
そして、目の前の不器用な男を、ほんの少しでも幸せできたらに思っている。
「……昨夜はすまなかった」
カタルが恥じらうように言った。
「昨日? あ! いえいえ! 少しでも役に立てたなら……」
ただ、肩を少し貸しただけだ。なのに、今更になってなぜかすごく気恥ずかしい。おそらく、カタルが恥じらっているせいだ。
「じ、実は折り入ってカタル様にご相談がありまして……」
「なんだ?」
「アッシュを少しずつ、本邸に慣れさせたいなって思っているんです」
窓を背に置かれた重厚感たっぷりの机には書類が山積みだった。
壁一面の本棚には書庫よりも難しそうなタイトルの本がたっぷりと刺さっている。
カタルは手前にあるソファに座るようシャルロッテに促した。
「悪いが今は誰もいないから、あまりもてなしはできない」
「もてなすだなんて! そういうお気遣いは不要です」
勢いで来てしまっただけで、そこまで長居するつもりもなかった。
「ここは防音魔法が掛かっているから安心しろ」
「そうなんですか? この屋敷は色々仕掛けがあってすごいですね」
「正式な夫人になったらすべて説明しよう」
「ありがとうございます!」
「夫人」という響きが少し恥ずかしかったのだが、シャルロッテは誤魔化すために笑顔をカタルに向けた。
すべては動物と過ごす人生を送るために結婚を決めた。しかし、今は少し違う。アッシュに特大級の幸せを与えたい。
そして、目の前の不器用な男を、ほんの少しでも幸せできたらに思っている。
「……昨夜はすまなかった」
カタルが恥じらうように言った。
「昨日? あ! いえいえ! 少しでも役に立てたなら……」
ただ、肩を少し貸しただけだ。なのに、今更になってなぜかすごく気恥ずかしい。おそらく、カタルが恥じらっているせいだ。
「じ、実は折り入ってカタル様にご相談がありまして……」
「なんだ?」
「アッシュを少しずつ、本邸に慣れさせたいなって思っているんです」