婚活難民令嬢の幸せもふもふ家族計画~愛のない結婚で狼皇子の継母になった私のはなし~
 オリバーは眉尻を下げながら、眠るアッシュの背を撫でる。ようやく、アッシュはオリバーにも慣れてきたようだ。

「もっとカタル様がアッシュとの時間を作ってくだされば、アッシュも獣人であることを受け入れやすいと思うんですよね」
「そうですね。アッシュが成長したように、カタルも変わるべきなのでしょう」

 オリバーは目は切なげだ。何かしらの理由があるのかもしれない。

(実は子ども嫌いとか? ありえそうだよね)

 いつも眉間に皺を寄せる姿は、子どもが好きそうには見えない。しかし、このまま放っておくわけにもいかない気がした。

「父親なんですから、もっとアッシュに興味を持ってもらわなくちゃ!」
「……何を企んでいるのですか?」

 オリバーはおそるおそるといった様子でシャルロッテに尋ねる。

「そんな、まるで悪だくみしているみたいじゃないですか! ただ、カタル様には息子のかわいさをもっと知ってもらおうと思っただけですよ!」

 シャルロッテはやる気に満ちていた。

(そうよ! 仮にも婚約者なんだし、少しくらいお節介してもいいわよね!)

 それにカタルと仲良くなることは、アッシュの願いでもあるのだ。

「見ていてください! アッシュをもっと幸せにしてみせます!」

 シャルロッテは握りこぶしを作った。
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