彼の溺愛の波に乗せられて
ウケる。
あんな美人でも家では私と一緒だなんて。

しかも天寿は見慣れてるみたいだし。

「幻滅する?」

「すると思うか?」

「しないの?」

「しねぇわ。なんも驚かねぇな」

「ははは」

今度会う時はちゃんとメイクしたとこ見せてみよう。
逆に驚くかな。

その後も、星を見ながら星座の話をしたりしていると天寿がおもむろに父親の話を話し出した。

「お父さんがずっと一緒に海外で支えててくれたんだ。優しいね」

「ああ。そうだな。感謝してる。今頃空の上だ」

え…?

「一年前、親父にガンがみつかって。それで引退して日本に帰ってきたんだ。余命どおり一年で空にいったよ」

嘘…
私、何で辞めたの? とか気軽に聞いちゃった。

しかも、何も知らないでもったいないとか…

「ごめんなさいっ! 私何も知らないで…」

「はは。いいんだ雅。言ってなかったんだから」

「天寿…」

「おかげでちゃんと最期見送れたし、こうしてまた良いスポットで波に乗れてる。後悔はない」
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