彼の溺愛の波に乗せられて
星空を見上げなら話す天寿。

「本当に?」

「ああ。今思ったらプロしてる時よりも波に乗るのが楽しいよ。こんな事言ったら親父に怒られそうだけどな」

こんな時なんて声をかけたらいいのかわからない。

「自由でいい。前より純粋に楽しめてるな」

そう言って話す天寿の顔は、凪いだ海のように落ち着いていて柔らかい笑みを浮かべていた。
嘘じゃないんだ。

「そっか。私も楽しい!」

「確かにお前楽しそうに乗ってるよな」

「最高だもん。何より気持ちいい」

「ははは。そうか」

そう言って振り向いていた私の顔をグイッと前に向けるとまた頭の上にあごを乗せた。

も、戻された。

「変な話聞かせてごめんな」

そんな…。
むしろ話してくれて嬉しかった。

「ううん。ちゃんと教えてくれてありがとう。それから、サーフィン辞めないでくれて」
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