彼の溺愛の波に乗せられて
「はは。親父にも言われた」
「なんて?」
「サーフィンやめんなよって」
「そうだったんだ」
「ああ。さらさらやめる気はなかったけどな」
なんか、すごく今くっつきたい。
抱きしめたい。
だって絶対にまだ悲しいはずだもん。
ずっとそばで支えてくれてた父親がいなくなって。
平気なわけない。
やっぱり天寿の声はどこか寂しそうだ。
私は身体の向きを変えて天寿の上に黙って座り直した。
そして何も言わずに天寿の頭をグッと胸に引き寄せて抱きしめた。
「雅…?」
「天寿。今、私たちしかいない」
「え?」
「私が隠しててあげる」
「…雅っ」
天寿は私にしがみつくみたいに顔をうずめたまま背中に手を回した。
すごく今愛おしいって思ってる。