彼の溺愛の波に乗せられて
少しでも動いたら…
どうなるかなんて想像が簡単にできてしまって、余計に身体がソワソワしてくる感じがした。
「雅…」
私を呼ぶ天寿の口から出る吐息が私の唇をかすめる。
「俺、男なんだけど」
「だからなに」
「食うよ」
「だめ」
「ククククっ」
私はそんな言葉が聞きたいんじゃないの。
「送ってって」
「嫌だ」
「天寿ー」
「クハハっ。最高」
そう言って私の耳元に置いていた手をそのまま髪をとかすように動かした。
そして先に天寿はボンネットから下りると私に手を伸ばす。
私はその手をパシっと軽く叩いて一人で飛び降りた。
「このっ!」
そう言って天寿は笑いながら私を後ろから捕まえた。
「あははっ!」
捕まったわ。
そして振り向いて天寿を見ればまた目が合う。
「なぁに?」
なんて言ってみたりして。
「本当お前…ククククっ」