彼の溺愛の波に乗せられて
天寿も飛ばされて首とか…

え…怖い。

そんな不安をよそにエントリーしていた挑戦者たちが全員終わって、ラストに天寿の紹介がされた。

「きた!」

雅人と凌雅が言う。

「どれ!」

私は二人の間にグイグイ入ってテレビのど真ん中を陣取る。

「これ!」

雅人が指差した。

「豆やん!」

天寿は豆だった。

と思ったら別なカメラで割とアップで映った。

「きたきたきたきたきた!」

「マジかよ! これに!?」

それは今日1番の大きい波だった。

「ちょっと大丈夫なのこれ!?」

そして天寿はタイミングを波に合わせて立ち上がった。

「やべー! 乗ったよ! ははは!」

高く高く上がり飛沫をあげて一気に襲ってくる波から逃げるように天寿は重心を低く取り突き進んで行く。

私はそれを固唾を飲むように口を手で押さえて画面に食い入るように見守る。
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