彼の溺愛の波に乗せられて


そして追いかけてきたチューブのような波に天寿が囲われるように画面から消えた。

「え!? え!?」

消えた!?

するとその巻き上げる飛沫のウェーブからヒュンとボードに立ったままの天寿が抜け出してきたではないか。

「すげー! 抜けたぞ! 天寿さんだけだぞ!」

「やべー!」


抜け出した天寿がアップで映されれば、彼は力強く両手をあげてガッツポーズをして、口に手を当ててその手を空高く上げ顔を上げた。

それはまるで空の上のお父さんに感謝するみたいに。

その顔は本当に美しいとしか言えない。

雅人と凌雅が私の頭の上でハイタッチしている中、何度もリプレイされる映像を私は涙を流しながら見ていた。

良かった…
無事だった…

やっぱり天寿はすごい。

「っはー! すげー本当に。クレイジーすぎるわ」

「ははは! カッケーな本当に。ビッグウェーブも乗れるし、技術もあるしマジで天才」
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