彼の溺愛の波に乗せられて
こんなキス…。
彰人の時とは比べものにならない。

そして全然嬉しさが違う。

天寿はゆっくりとキスを交わしたあと名残惜しくも唇を離した。

そしてそのまま抱っこしたまま、私のリュックを拾って天寿の車の後部座席に乗せられた。

「雅」

私はあまりの大人なキスに、しかもこんな外でしてしまっただなんて恥ずかしくて天寿にしがみついたまま顔を上げられなくなってしまった。

絶対顔赤いよ。
真っ赤だよ。

しかも下手くそ過ぎてどう思われたのか不安になる。

「雅ー」

なのに私の名前を優しく呼ぶ天寿。

「今無理だ!」

私の口はやっぱり可愛げなく叫んでしまう。

「クハハ! いいから顔見せて」

なかなかしがみついて顔をあげない私を天寿はなかば強引にひっぺがし、きっと真っ赤な顔をしているだろう私を揺れた瞳で見つめる。

天寿の大きな手が私の顔を包む。
ついこの手に頬擦りしてしまいたくなる。

そして私の顔を覗き込むようにしたかと思えばクスッと笑ってもう一度チュッとキスをされた。
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